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Channel: オタクなスローライフ
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きみがいなきゃ

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キャラ設定は前回と同様

だが数日前の話。
<光視点>





















日曜日は憂鬱。
せっかくの休みが終わってしまうから。

月曜日は憂鬱。
学校が始まるから。

火曜日は憂鬱。
大嫌いな社会があるから。

水曜日は憂鬱。
大嫌いな体育があるから。

木曜日は憂鬱。
退屈な委員会があるから。


…自分、学校嫌いだな
何が楽しくて学校に行くんだろう

でも、なんだか、金曜日は苦痛じゃない
なんだろう




今日は金曜日。
久しぶりに雄樹と帰れることになった。

自転車に乗らず、押しながらゆっくりゆっくり進んでゆく
こうすれば、少しでも長く一緒にいられるでしょ?

「あ、そういえば前貸したゲーム、どこまで進んだ?」

雄樹は目を輝かせて言った。
ああ、あれか、忘れてたなあ。
たしか二か月前に借りたゲーム。

「え、まだ2面…」

そういうと、雄樹は周りにいる人たちのことなんか気にせず、大声で笑い出した

うちみたいなゲームオンチに
あんなむずかしいRPGなんてできるわけがないでしょうが

「おっせえなあ光は、俺なんて1週間で全部クリアしたぞ?」
誇らしげな顔でそういう。

まだ笑うか、ツボの浅い男だこと。

「あんたがすごいだけですー」
自分はいたって普通であることを主張したかっただけ
別にほめてなんかない

なのに

「マジで?ほめてくれるの?いやーありがたいなあ」

こんなに喜ぶ。
あんたは餌を持ってくればすぐおとなしくなる犬か

「ほめてないしー!このゲーマー!」

「な、今何て言ったっ!俺はゲーマーじゃねえっつってんだろ!」

言動は怒ってるが
どちらも顔はニヤついてる

なんだかんだいって幸せなんですねわかります




自転車を押してても確実に時間は過ぎる。
もう自宅への分かれ道に近づいた。

「ねえ光、空見てみ!きれい」

いままですっごく寒そうにしてたのに、いきなり熱くなった雄樹。
自分も空を見上げる。

4:38の空。
雲はまばらで、太陽がよく見えない
だが、しっかりオレンジ色に輝いてる
これは雄樹も興奮するわけだ

いつもみる空とは違うな、なんだろう

「確かにきれいだね」
「俺、こういう空好きなんだよな」
「ふうん」

しばらく黙りこくり、別れのあいさつをする。

また会おう、そう告げる挨拶。

そして自分はまた、空を見てみた。

…………

あ、わかったぞ

いつも見る空と、今日見た空の違い。


雄樹がいると、きれいに見えるのか。

あ、なるほど、
雄樹がいるから、金曜日は苦痛ではないのかもしれない


自分、すっかり惚れ込んでしまったようです

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